映画『最初の晩餐』を観た。⽗親の通夜、⺟が仕出し屋を突然キャンセルして自炊すると言い張る。運ばれてきた“通夜ぶるまい”は、なんと⽬⽟焼き。みんなが⼾惑う中、次々と出される料理から、主人公はあることに気づく。そして亡くなった⽗との思い出や、家族も知らなかった秘密が浮き彫りになっていく。そんなあらすじを踏まえて、むせび泣く状態に陥ることは必至の覚悟。座席は隅っこの方に指定、厚手のタオルハンカチを握りしめて映画館に足を運んだ。が、2時間にわたって浸った世界は、あまりにもリアルな情景。僕にはこんな経験はないけど、作り話ではなくて現実の凄みみたいなものがひしひしと伝わってくる。そこに感情移入した時、号泣の情感は無くただひたすらに涙がツツーっと流れ落ちる。特に物語の核になんでもない「食事」があるところが滲みる。過去の思い出って意外と食事とか音楽とか何気ないものと強く結びついていることを感じる。家族となった5人が、バラバラになった後にもう一度家族になる、その年月を描きながら映画は「家族とは何か?」という問いを投げかけて、答なく終わる。飾り気のない淡々とした展開を、主人公 染谷将太、その姉を⼾⽥恵梨⾹、父を永瀬正敏、後妻となる母を⻫藤由貴、その連れ子の兄を窪塚洋介といった布陣が熱演する。また姉の少女時代を演じている森七菜の、複雑な子供心を表現する演技は真に迫る。他人の家族の物語を観ながら、心では自分自身の家族との時間を感じている、そういう作品でした。朗子さん、素晴らしい機会をありがとうございます!
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